社会福祉法人の法定監査対象拡大
- スタッフ
- 2019年12月22日
- 読了時間: 4分
更新日:2019年12月30日
社会福祉法人の法定監査の強制適用範囲が拡大します。監査を受ける準備は万全ですか?

社会福祉法人の会計監査対象が拡大傾向にあります。法人の現在及び将来の規模を考慮し、予算と合わせて適切な対応をとりましょう。
社会福祉法の改正
社会福祉法等の一部を改正する法律(平成28 年法律第21 号。以下「改正法」という。)が平成29 年4月1日に施行されることに伴い、社会福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令(平成28 年政令第349 号。以下「改正政令」という。)及び社会福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成28年厚生労働省令第168 号。以下「改正省令」という。)が平成28年11月11日に交付されました。
社会福祉法人への会計監査の導入
結果、特定社会福祉法人については会計監査人の設置義務が明示されました。
特定社会福祉法人
特定社会福祉法人の基準については、社会福祉法施行令第13条の3にて以下のように記載されております。
「平成29 年度、平成30 年度は、収益30 億円を超える法人又は負債60億円を超える法人」
当初当基準は以下のように特定社会福祉法人の範囲を段階的に拡大する予定でした。
・平成31 年度、平成32 年度は、収益20 億円を超える法人又は負債40億円を超える法人
・平成33 年度以降は、収益10 億円を超える法人又は負債20 億円を超える法人
特定社会福祉法人の範囲拡大延期
ですが、厚生労働省は2018年11月2日にて2020年3月期の対象範囲拡大を延期することと表明しました。
これにより、当初予定されていてた2020年3月期における収益20億円超又は負債40億円超の法人の会計監査の強制適用はなくなりました。
今後の動向
とはいえ、収益10億円超又は負債20億円超の法人、とくにそのうち収益20億円超または負債40億円超の法人においては近いうちに法定監査対象となることが見込まれております。
厚生労働省も同表明において、会計監査を円滑に導入が可能と見込まれる法人は、積極的に会計監査人を設置することを求めております。
会計監査の導入にあたって
会計監査は会計士(監査法人)との契約ですぐに実施されるようなものではありません。
法人側の受入体制(ヒトの配置や、資料の作成状況、保存方法、承認経路の見直し等)の構築にもに少なくない準備時間を要します。
会計監査導入メリット
会計監査を受けることによって以下のようなメリットがございます。
1.監事監査の省略
会計監査人による計算書類等の監査が適正に行われているときは、監事は計算書類等の監査を省略できます。
2.行政監査の省略
指導監査要綱の見直しの際、会計監査人監査において確認する会計管理の関する監査事項の重複部分を省略し、監査の重点化を図ることを目的としています。
3.随意契約金額の拡大
合理的な理由により、競争入札に付することが適当でないと認められる場合においては、随意契約によることができるとされております。
この随意契約の金額上限が、会計監査を受けていない場合には1,000万円を上限となります。
会計監査を受けている法人については、建築工事:20億円、建築技術・サービス:2億円、物品等:3,000万円まで拡大されます。したがって、実質的に入札の不要となることが多くなります。
4.ガバナンスの強化
第三者である会計士・監査法人の監査を受けることにより、貴法人のガバナンスが強化され、財務報告の信頼性が向上します。
監事・理事の募集にも有利に働きます。
5.経営課題の早期発見、解決
会計監査を受けることにより、内部統制の適切な整備、運用がなされ、経営上の情報が迅速に伝達されることになります。
また、プロフェッショナルである会計士・監査法人の視点から課題が発見されることも少なくありません。
会計士・監査法人がいることで早期的な解決が望めます。
会計監査の導入
まずはショートレビューを受けてみて会計監査の導入が可能かどうか、貴法人の経営管理がどの程度のレベルにあり、会計監査の導入にどの程度のコストが必要なのかを検証してみることをお勧めしたします。

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